2010/05/06

土地さがし

家を建てて2年が過ぎた。そろそろ土地探しをしなければ、と思い始めてから考えると、4~5年経ったか。こちらの思いにいろいろ変遷があったが、最終的には不満のない土地が見つかり、家が建った。記録として、土地探しから、家の設計まで書いておこうと思う。

まずは、土地探し。土地がなければ何も始まらない。土地の当初の条件としては、私が会社に普通に通えることと、妻の好きなガーデニングができる庭が持てること。この2つを大条件に土地探しを始めた。

当時住んでいた社宅の最寄駅は、開発が進んでおりどちらかというと商業地の部類。学校が近く、病院も多い。駅にはデパートもあり、我々としては住みよい街であった。が、高いから無理だろうと思い、今後の転勤の可能性を考慮して駅を二、三選び、その周辺に絞って探しはじめた。

初めのころは、地場の不動産屋に行って条件を伝えて紹介してもらったりしていた。が、駅近の土地では、なかなか値段が折り合わない。いくつか「これは」というところがあって、手付を入れたり重要事項説明をもらって検討したところもあったが、気になるところがあってパス。

気になるところとは、例えば、土留め。ある中古物件は、傾斜地にあって、土留めで土地が区画分けされている。築30年程度だったか。建物の築年数は、どうせ解体して新築するので関係ない。問題は、土留めの耐用年数だ。調べてみると、建築確認の図面が残っているようなところは、まだ安心。図面が残っていないようなところは避けるべき。また、残っていたとしても耐用年数は50年程度。そうすると、20年後に補修費用が発生することとなるが、3,4百万のオーダーで見ておかなければならないとのこと。これで引いてしまった。

別の土地では、高圧線。土地の真上を送電線が通っている。調べてみると、高圧線があってもそこからくる電磁波は電子レンジ以下。携帯電話のほうが強い電磁界を発しているらしいが、低周波音とかやっぱり気になってしまい、パス。

駅近の条件を外してバスでも良いとしても、私の仕事は帰宅が11時くらいの遅いことも結構あり、遅い時間までバスがあることを条件とすると、なかなかよい物件は出てこなかった。

地元の不動産屋はある程度回数行って本気度を見せないと、あまり紹介してくれないようだ。大手の、例えば、三井のリハウス、小田急不動産なんかは、一所懸命紹介してくれた。多分、システム化されているのだろう。たくさん新聞広告を入れてくるようなチェーン化している不動産は避けた。数は紹介してくれそうだが、応対がうざったくなりそうで。

しばらくして、当初の考えていた駅は、ちょっと思い入れがあったところもあり、現実的な駅を選択して、駅を変えて探し始めた。駅を変えると、違った感じの土地が出てくる。条件をゆるくしているので、駅からは少し離れているが、広さ・日当たりの良い土地は結構でてきた。が、このときのネックは、学校の遠さだった。この頃紹介してもらっていた土地は「環境」は良かった。ここでの環境は、日当たりや自然環境。区画も広く、伸びやかな感じ。逆に言うと、人気が少なく、学区が広く、学校まで遠い。小学校まで子供の足で何分かかるんだ? という土地ばかりで、値段や広さは良かったのだが、OKできなかった。子供の通学が心配なのは、ほんの数年かもしれないが、我々には看過できない条件だった。

この段階でも手付を入れるところまでいったところが一つあった。ここは、広さ・値段もよく、バスもそこそこあり、というところであったが、いわゆる土地整理区画組合の仮換地。区画整理事業がうまくいかないと、いつまでも自分の土地にならない条件のところ。そこの区画整理組合自体の問題は表面化していなかったが、他の組合でうまくいっていないところの話をWeb等で見ると、なかなかOKとは、言えなかった。このとき、区画整理事業をやっている会社の方から、「土地は、気にかかるところがあるなら買っちゃいけない」と言われた。この言葉は、土地探しの間中、気にかけていた言葉となった。

そうこうしているうちに、お付き合いをする不動産屋も絞られてきた。なんでここじゃだめなんですか、といわれたこともあったが、それくらい我々の意図を感じてくれるようになってきていた。不動産屋とは長く付き合うことが大事だと思う。

そうこうしているうちに、我々にとって何が大事で、何がだめなのかが見えてきた。例えば、自動車の音が気になるような場所はだめ、学校の距離感、日々の買い物はどうしたいか、など。特に、日々の生活感が大事なのでは、というところの意識が強くなってきた。例えば、「デパートに車で行くのは大変」「日々の買い物はさくさくと済ませたい」など。車で出かけてまとめ買いしたりしない生活パターンで、思い立ったら買い物に行きたい、贈答品などちょっと良いものを買える場所が近くに欲しい、といった感じ。そう思い始めると、当時住んでいた場所が断然良いように思われ、改めてその駅周辺で探してみることにした。

こうなると地場専門の不動産では対応が難しくなると思われる。我々は、「小田急不動産」や「三井のリハウス」といったところとお付き合いを深めていたので、その点はラッキーだった。

そして、運命の土地に出会った。それまでは、ファックス等で情報を送ってもらっても、なにか欠点が1つか2つあり、見に行ったりするのも気が向かない感じだった。この土地は、直感的に「あ、、、断る理由がない、やばい」と感じさせるものだった。「やばい」というのは、人生最大の買い物を決断しなければならない、という思い。

だがしかし、そう簡単にはいかなかった。立地、広さ、価格が、あまりに好条件なのである。我々が手を上げたとき、既に3番手だったのだ。それでも名乗りを上げ待ってみたが、やはりだめ、とのこと。それまでは、土地がだめとなっても、何か悪いところがあって断っていたような感じだったのでそれほど残念という感じはしていなかったのだが、この時は、残念の一言。残念会をしたくらい。

まぁ、また次が出てくるさ、と思って探すが、、、、好条件を見てしまった後では、これというところはなかなか出てこない。というか、そもそも土地自体が出てこなくて、あまり選べない状態になってしまった。

そんなある日、付き合いのあったハウスメーカーで土地情報を見せてもらっていると、なにやら見たことのある土地が。そう! あの運命の土地! なぜまた売りに出ているのだ!

庭が造れる広さ、スーパーは徒歩圏、小中学校も徒歩圏、バスは11時過ぎまである。6m道路に面しているが、車どおりはほとんどなく、幹線道路の音も聞こえない。なによりそのとき住んでいた駅と同じ駅なので、生活圏は変わらない。

小田急不動産に連絡して調べてみてもらうと、どうも、売りを引っ込めたらしい、とのこと。誰の考えかはわからないが、短期間に3人もの買いが付いたので、安すぎたのだと判断し、値上げして売りに出してきていたのだった。確かに、今回の価格は、前回よりも上がっており、我々の予算ぎりぎり。というか超えている。

あとは、建物代とのセットで、どれくらいの値段になるか、というところだったんだけど、これ以上の条件はないので、家代を切り詰めてでもここにする、と判断し、この土地を買うことにしたのでした。

結局、我々が何を重視するのかを捜し求める旅だったような気が。我々が求めていたのは、今すんでいる生活圏であまり車に頼らない生活をすること。ここにいたるまでに、数年かかってる。それって、いろいろ土地を見て、そこでの生活を想像しないとわからない。だめな条件も、たくさん物件を見ないと気が付かないこともある。あわてて決めちゃいけないんだなって思う。「気にかかるところがあるなら買っちゃいけない」と言われていたのも、われわれがじっくり探せたポイントかもしれない。あと、我々は幸い土地探しにもう少し時間をかけられる状況だったから、じっくり選定できたのかもしれない。

そういう意味では、早めに探し始めることが一番大事なのかな。じっくり時間をかけて、自分たちの選択のポイントを明らかにしていって、それから本格的に待つ、ってことか。

ま、それにしても、我々は、運が良かった。

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