2018/11/13

ADSL+CATVから光回線サービスへ(1):ADSLはなくなるのか?

なんとなくニュースを見ていたときだったと思うが、フレッツADSLが新規申込みを受け付けていなくて、2023年にサービスを終了する、というニュースをみた。調べてみると、NTTの加入者電話網がIP化され、それを機にADSLサービスもなくなるとの話。加入者宅と電話局間の電話線(カッパー線)は残るが、ADSLによるインターネット接続サービスはなくなるとのこと。いわゆるフレッツADSL。

このニュースを見て、ADSLってもうなくなるんだ、と思い、調べてみると、当然、フレッツベースのISPのADSLサービスは新規申し込みを停止しており、申し込みを受け付けていたのは、我が家で使っていたYahoo! BBなどのソフトバンク系のみ。これも、そのうち停止するのだろうと思った。

それで、我が家のYahoo! BB ADSLの契約状況を調べてみると、この翌月が契約更新のタイミングだった。フレッツADSLが止まるまでまだ4 年、ソフトバンク系がいつ止まるかはわからないのだが、思い立ったが吉日で、インターネット、電話、テレビの環境を一新することにした。で、CATVのJ-COMのサービスにするか、光ベースのサービスにするか迷ったのだが、光ファイバベースのインターネット接続サービスである、IIJmioひかりに切り替えた。我が家は、スマホの回線をIIJmioにしているので、家をIIJmioひかりにすると600円の割引が受けられるので。

で、切り替えた後に、実際のところ、ADSLってどうなるんだろうなぁ、と調べ始めたのだが、、。切り替えをちょっと早まったのかもなー、という気もしてきたり。

ADSLは、Asymmetric Digital Subscriber Lineの略で、カッパー線の持つ周波数帯域を有効に使って高速なデータ通信を実現する技術。ADSL登場前は、モデムによってデジタル信号を可聴域の音に変調し、音としてデータを送受信していた。早口でしゃべっているようなもの。モデムによる通信速度は、最終的には56kbpsくらいまでにはなったが、今からすれば通信制限されてんのか、って速度。これが、可聴域以外の周波数帯域をうまく使うことによって、大幅に通信速度を上げたのがADSL。Asymmetric=非対称と言っているのは、ダウンロード側とアップロード側で周波数帯域を非対称とし、ダウンロードにより帯域を割いて、高速なダウンロードを実現している。

これを使ってインターネット接続サービスを提供するには、当然、カッパー線が必要。NTTなどの固定電話の通信事業者は、加入者と交換機のある電話局をカッパー線で結び、電話サービスを提供している。この線を、ADSLによって、インターネット接続サービスにも使っているということ。

固定電話の通信網の交換機の保守が限界が近づいているため、NTTは電話のバックボーンをIP網に移行している。IP網といっても、インターネットではなく、インターネット技術を使ったネットワークという意味。これを使っているのがひかり電話で、このIP網に直接つながる固定電話サービスとなっている。カッパー線もこのIP網につないで、交換機なしの電話サービスを提供しようとしており、それと同時にADSLによるインターネット接続サービスも終了しようとしている。

ADSLに必須のカッパー線を持っている通信事業者ってNTTだけなんやろ、と思ったが、これを借りて固定電話サービスを提供する会社もある。カッパー線をNTTから借りて、NTTの電話局のスペースを借りて設置した自前の交換機に接続する。直収サービスと呼ぶらしい。このNTTが貸し出している空きカッパー線のことをドライカッパーと呼ぶ。

で、ドライカッパーによる直収サービスを展開していたのは、第二電電。今のKDDIで、KDDIメタルプラスというサービス。が、これは2016年にサービスを停止していて、auの固定電話は光ファイバベースのサービスになっている。

もう一つが日本テレコムで、今のソフトバンクだ。ソフトバンクの直収サービスは、おとくラインといって、現在も提供されている。

一方、カッパー線を持っているNTTの固定電話サービスは、年間1000億円の赤字なんだそうだ。加入者も激減し、ほとんどの通話が携帯・スマホに移行し、かつ、保守限界の交換機を抱えている。NTTもIP化された電話サービスを持っているが、それはアクセス線が光ファイバのひかり電話、今後、カッパー線をIP網につないでいくので、ADSLはもうやめる、というのが最初に書いたニュースの話。

それと比べて、ソフトバンクのおとくラインでは、バックボーンはすでにIP化されているようだ。つまり、ソフトバンクは、NTTのカッパー線を借りて、IP化された固定電話サービスを既に展開しているということ。多分、交換機を使っていないし、IP化により既に相当コストを抑えていて、NTTがカッパー線を貸してくれる限り、事業的に継続できるサービスになっているのだろう。

つまり、ソフトバンクは、ドライカッパーによるサービスをやめる気はないようで、サービス停止の計画も発表していないし、新規申し込みも受け付けている。もとに戻ってADSLだが、フレッツ系のADSLは新規申し込み停止、auはADSLサービスがすでに停止しているが、ソフトバンク系列はドライカッパーでの商売をやめる気配を見せておらず、ADSLも停止の気配は今のところ見せていない。NTTがカッパー線をひかり電話のIP網につないでいくことは、直接はADSL停止とは実は関係ない。IP網につなぐ前にADSLの終端装置を入れればよいだけなので。NTTがそれはもうやめてくれ、と言わない限り、続けられるはずなのだ。

1つ問題として残るのは、ADSLの終端装置。ADSLの利用者が減り、モデムを製造している会社がほとんどないこと。ここの調達の問題で、フレッツADSLは2016年に新規の申し込みを停止している。フレッツADSL対応のモデムは、かなり以前から製造を停止しているらしいのだ。

というわけで、Yahoo! BB ADSLは、おそらく、ADSL終端装置の保守限界、利用者数の減少をみながら、サービス停止を判断していくのだろう。いつぐらいになるのか想像はつかないが、ADSL利用者が急速に減少していることから考えると、そんなに遠い将来ではないはずだ、とは思うが。。。

Yahoo! BBのADSLで特に不満もなかったから、早まったかもなー。ま、いいけど。

(2019.9.14追記)
Yahoo! BB ADSLもサービス停止が決まったようです。2024年3月末。新規申し込みは既に停止している。


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